地震に強い家はない -地震対策でまず理解すべきこと-
さて、みなさん。
永く心地よく暮らせる住まいづくりのスペシャリスト
NKプランニング株式会社(中谷工務店)の中谷耕三です。
始めに
このたびの3月20日18時09分ごろに
宮城県沖で発生した地震で、
被災された方々には
心からお見舞い申しあげます。
また、
復興にご尽力されている皆様には、
安全に留意されご活躍されることを
お祈りいたします。
免震構造が揺れた
今回の地震の一報が流れたとき、
「この建物は免震構造ですが、大きな縦揺れを感じました。」
「室内のモノの転倒などはありません。」
という報道がされました。
報道では、
免震構造の建物でも揺れが続くほどの大きな地震
という意味で、
地震の揺れの大きさを伝えたかった表現と思います。
今回は、
【 免震構造が揺れた 】
ことが、
どれほど大変なことだったのかも踏まえて、
皆さんに一番関わる
住宅の地震対策
【 耐震・制震・免震 】
について触れたいと思います。
住宅構造の地震対策
住宅構造の地震対策は、大きく分けて
【 耐震・制震・免震 】
の3種類に分類されます。
大まかにその特徴を見ていきましょう。
①耐震構造
揺れに対して「耐える」
ことを目的としています。
筋交いや合板などの耐力壁で
建物をがっちりとつくることで地震に耐える、
粘りと強さが要の工法です。
日本ではもっとも一般的な地震対策で、
基本的にあとに出てくる
「制震工法」「免震工法」も耐震工法を併用します。
地震の揺れを建物にダイレクトに伝えてしまうため、
・繰り返しの揺れに不利
・家具の転倒が起こりやすい
の特徴があります。
②制震構造
揺れに対して建物がしなり「吸収する」
ことを目的としています。
金属・ゴム・筒に入ったオイルなどで作られた
「制震ダンパー」などの制振装置を
壁の中に設置します。
これらの弾性を利用し、
振動エネルギーを熱エネルギーへ変換して
揺れを吸収します。
繰り返しの揺れに強い
(建物の傷みが少ない)とされ、
2階・3階以上部分の揺れが少ないのが特徴です。
仕組みさえ違いますが、
「建物がしなる」ことを捉えれば、
古民家も制震構造の住宅と言えます。
③免震構造
揺れから「免れる」
ことを目的としています。
建物を支える基礎と建物の間に、
ゴムやボールベアリングからなる
免震装置
と呼ばれるものを仕込み、
地盤と建物を分離し揺れを直接伝えることを避けます。
建物自体は揺れはしますが、
ゆったりと家全体が地震の揺れに追いついていくイメージです。
地震の揺れを感じにくく安心感があるのがメリットです。
家具の転倒や物の落下を大きく軽減
することができます。
比較的高価なになるのがデメリットとなります。
地震対策3構造を表にまとめました
【 耐震・制震・免振 】を表にまとめました。
ぜひ参考にしてください。
「室内のモノの転倒などはありません。」
見出しの文章は、
冒頭の報道で流れたコメントです。
実際のシーンも流れましたが、
揺れ続ける動画のなか、
モノは一切倒れていません。
免震構造の特徴である、
・揺れを小さくする
・モノが倒れにくい
の機能が働いた証拠と言えます。
免震構造で揺れが小さくなったうえでも、
体感する揺れが続いた。
ということは、
それほどの大きな揺れがあった。
ということになります。
その大きな揺れであっても、
モノが倒れないということは、
避難経路が確保できて、
安全に避難できる。
ことがとても大切なのです。
地震対策でまず理解すべきこと
構造でどんなに対策を施しても、
「地震には敵わない」
ことを、理解してください。
地震に強い家はないのです
いつ起きるかわからない地震に対して、
家族で安全に避難する
ことが大切です。
そのための
【 避難時間稼ぎ 】
に対策を施すと考えてください、
住宅の構造も大切ですが、
・防災グッズの常備
・避難場所、避難経路の確保
・非常時の家族との連絡手段
・お住まいの地域のハザードマップの確認
などの対策も併せて考慮してください。
地震に
正しく適切に恐れて、
備えを常に万全に整える
ことが、
地震に負けない対策
だと考えます。
私の過去のブログでも、
地震について書いたものがあります。
参考にしていただければ幸いです。
関連記事:
地震に備える住まいづくり ~感震ブレーカーの取り付け~
住宅の地震に備えるための、3つの工法
大地震後に行う、知られざる建築士の活動
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
※本記事は、およそ6年前の記事
[ 住宅の地震に備えるための、3つの工法 ]
を加筆再構成したものです。
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