【③ドア】ユニバーサルデザインから見た住まいの基礎知識 3/5
さて、みなさん。
永く心地よく暮らせる住まいづくりのスペシャリスト
NKプランニング株式会社(中谷工務店)の中谷耕三です。
今回は、
ユニバーサルデザインから見た
住まいの基礎知識を紹介する全5回シリーズ
①段差
②手すり
③ドア
④階段
⑤車いす
についてお話します。
実際に通れる幅について
ドアのカタログを見ると、
「有効開口」「有効幅員」と書かれていますが、
なぜ「有効」とついているのでしょうか。
有効開口幅とは、
ドアを開けた時に実際に通れる幅のことを指します。
ドア枠の内寸法からドアの厚み分だけ狭くなります。
ドアを選ぶ時には、「有効開口寸法」をチェックして選んでください。
ドアの種類
ドアにも開き戸や引き戸など、様々な種類があります。
ドア選びは、
ストレスのないスムーズな移動、
緊急時のリスクを下げる
など、
住まいにとってとても大切な要素です。
ドアの種類とその特徴を理解して、
場所にあった適切なドア選びのために、
室内ドアの種類とその特徴をご紹介します。
1.開き戸
最も一般的なドアで、
大きく分けて「片開きドア」「両開きドア」に分かれます。
【主な設置場所】
LDK、各部屋、収納など
【長所】
・狭い間口でも取付できる
・気密性に優れている
【短所】
・開く側に開閉のためのスペースが必要になる
・狭い場所ではドアをよけながらの開閉動作になる
・少しだけ空けておくことができない
2.引き戸・吊り戸
建具を右または左にスライドさせて開閉するタイプのドアです。
開閉のとき前後に空間が必要ないので、
前後のスペースが確保しづらい場所に適しています。
敷居と呼ばれるレールがあるものを「引き戸」
上部から吊るして床面にレールがないものを「吊り戸」
といいます。
【主な設置場所】
LDK、各部屋、和室、トイレ、洗面脱衣所、お風呂
【長所】
・開き戸のように前後の移動が無く、その場で開閉できる。
・少しだけ空けておくことができる
【短所】
・建具がスライドする分の空間が必要
・スライドさせる壁にスイッチやコンセントがあると位置に注意
・スライドさせる壁との間に隙間ができて気密性に劣る
3.引き違い戸
2枚の建具がそれぞれのレールの上でスライドをして開閉します。
建具自体は簡単に取り外しができます。
ふすまや障子など、和風な空間でよく用いられます。
【主な設置場所】
和室、押入
【長所】
・開き戸のように前後の移動が無く、その場で開閉できる。
・少しだけ空けておくことができる
・建具を外せば全開にできる
【短所】
・普段は建具1枚分の開口しかない
・スライドさせる壁との間に隙間ができて気密性に劣る
・ふすまや障子の場合、鍵を取り付けにくくなる
4.3枚引き戸
3枚ある引き戸のうち2枚のドアが開閉して、
全開にした時には建具2枚分が開けた状態になります。
開口が大きく取れるので、
部屋間の間や介護改修するトイレに用いられます。
【主な設置場所】
部屋同士の間、介護改修するトイレ
【長所】
・開口が大きく取れる
・開き戸のように前後の移動が無く、その場で開閉できる。
【短所】
・建具がスライドする分の空間が必要
・スライドさせる壁にスイッチやコンセントがあると位置に注意
・スライドさせる壁との間に隙間ができて気密性に劣る
5.折れ戸
蝶番に繋がれた二枚一組の建具を畳んで開け閉めするタイプです。
開閉にそれほどスペースをとらず、開口いっぱいに開けられます。
建具の枚数を増やせば、
部屋の間仕切りなど大開口を開閉することができます。
【主な設置場所】
部屋同士の間仕切り、クローゼットなどの収納
【長所】
・壁面からの建具の出が少ないので、狭い場所で使いやすい
・建具を増やせば、大開口に対応できる
【短所】
・折れ曲がる部分と引手の位置が近いため、指を挟む恐れがある
6.中折れ戸
建具の一部が折れたたまれて開閉します。
開き戸に比べて開閉に必要なスペースは1/3程度になり、
開いた時の建具の出も小さいため、
廊下に面したトイレなど、建具の前の空間が狭いところに適しています。
引き戸にしたいけどできないときに重宝するドアです。
【主な設置場所】
トイレ、洗面所、省スペースな空間
【長所】
・片開き戸と同じように設置できる。
・建具の出が少ないので、その場で開閉できる
【短所】
・構造が複雑でコストが高くかかる
もしもの時のために
地震で家具が倒れたら
家具が倒れて出入口をふさいでしまったとき、
開き戸だと開かなくなる恐れがあります。
引き戸にする
もしくは、
家具転倒防止の対策
をするのをオススメします。
トイレや浴室の中で人が倒れたら
トイレを内開きの開き戸にすると、
万が一中で人が倒れたら開かないことも考えられます。
浴室は水のあふれを防ぐため、
外開きにはできません。
浴室は
ヒートショックによる事故が起きやすいところです。
室外から外せるようになっているドアもありますが、
できれば引き戸にするのをオススメします。
おわりに
よく用いられるドアの特徴を紹介しました。
いかがだったでしょうか。
日常動作にストレスなく快適な毎日を送るためにも、
毎日触れるドアの形状は大切です。
これからもいまの住まいに永く住み続ける大切なポイント
なので、
改めて見直されてみてはいかがでしょうか。
当社は約20年の介護改修工事年の実績があります。
地域の住環境向上の一助として行ってまいりました。
ご相談やご質問などお気軽に
親身になってお応えいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考書籍・画像引用:
LIXIL いつもイキイキ 住まいのUDガイドブック
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