【⑤車いす】ユニバーサルデザインから見た住まいの基礎知識 5/5
さて、みなさん。
永く心地よく暮らせる住まいづくりのスペシャリスト
NKプランニング株式会社(中谷工務店)の中谷耕三です。
今回は、
ユニバーサルデザインから見た
住まいの基礎知識を紹介する全5回シリーズ
①段差
②手すり
③ドア
④階段
⑤車いす
についてお話します。
家の中で車いすを使う生活
様々な理由で車いすを使う生活となる場合があります。
残念ながら現在の住宅は
車いすに対応できてはいません。
車いすを使うときに合わせて
リフォームする事例が大半を占めます。
もしあなたが
新築や大掛かりなリノベーションをお考えでしたら、
車いすをスムーズにつかうためのポイント
をプランに盛り込んではいかがでしょうか。
今の住まいにに永く住むために、
車いすに対応した住まいの工夫をお話します。
車いすの種類と注意点
使い方に合わせた車いすの種類
車いすは使い方で
自分で漕いで動く 【自走式】
介助者に押してもらう 【介助用】
の2種類に大きく分かれます。
歩くのが大変な状態のとき、
家の中をスムーズに動き回ることができます。
車いすの注意点
車いすは
取り回しに広めのスペースを必要とする、
段差が苦手な乗り物です。
通路やドアの幅を広くして、
方向転換や切り返しのために広めのスペースを必要とします。
車体や車輪の大きさ、
キャスターは自在に動くタイプなのか、
などで、
取り回しのしやすさや
段差の越えやすさが変わります。
【自走用】と【介助用】の特徴と注意点
ご自分で操作する【自走用】
[ 特徴 ]
車輪を漕ぐときに握る「ハンドリム」が付いていて、
タイヤが大きくのが特徴です。
タイヤが大きいため、
段差を乗り越えやすくなります。
[ 注意点 ]
自身でハンドリムを操作するので、
腕や肘の張り出しが大きくなります。
その分通路やドアの幅を広く取る必要があります。
介助者に押してもらう【介助用】
[ 特徴 ]
取り回しのしやすさを優先しているので、
本体はコンパクトにできており、タイヤも小さくなります。
自ら漕ぐことを想定していないので、
ハンドリムもついていません。
[ 注意点 ]
タイヤが小さいので取り回しが良い反面、
段差を越えにくい場合があります。
車いすが動きやすくなる住まいの工夫4選
ではここからは、
住まいの計画に取り入れて欲しい
「車いすが動きやすくなる工夫4選」
をお話します。
廊下や出入口の幅
車いすの種類によって、
快適に移動できる廊下や出入口の幅は異なります。
ご自分で漕ぐ自走用は
【廊下も出入口も85㎝以上】
介助者に押してもらう介助用は
【廊下の幅は78㎝以上・出入口の幅は75㎝以上】
が必要となります。
現在の家でこの幅を確保するのは少し難しくなります。
現在の家は
柱の間隔を91㎝で作っている
ものが大半だからです。
いまあなたが新築や大規模なリノベーションを計画中なら、
柱の間隔を1m(メーターグリッド)
にできるようにお考え下さい。
リノベーションの場合は工夫が必要ですが、
新築の計画ではメーターグリッドがおすすめです。
始めから廊下を広くとっておき、
奥行の小さい収納を作ります。
いざとなれば
収納を解体して廊下幅を広げる
方法もあります。
ドアの選び方
以前のブログ
【③ドア】ユニバーサルデザインから見た住まいの基礎知識 3/5
でも書きましたが、
ドアにもたくさんの種類と特徴があります。
その中で車いすにオススメなのが、
【引き戸】です。
ドアを開けたままにできるのが、
車いすとの相性が良いのです。
突き当りの部屋の場合は、
引き戸を壁の端からではなく、
30㎝ほど離してドアを付けると、
車いすに乗ったままでも操作しやすくなります。
段差の高さと乗り越えやすさ
タイヤが大きな自走式の車いすならば、
1㎝ほどの段差も乗り越えられる場合もあります。
タイヤの小さな介助用の車いすでは、
女性や高齢者の力の弱い介助者によっては、
1㎝未満でも乗り越えられない場合があります。
使われる方の状況に合わせて
段差の解消が必要になります。
極力少なくなるのがベストです。
段差の解消については、以前に記事
【①段差解消】ユニバーサルデザインから見た住まいの基礎知識 1/5
にて詳しく書いていますので、併せてお読みください。
切り返しと近づきやすさ
家の中でも狭い空間でモノが多い水回りでは、
車いすが回り切れなく場合があります。
狭い駐車場の車庫入れのように、
何度も切り返しをすることになってしまいます。
洗面台や浴室の出入口には、
正面から出入りできるようにすると
動きはスムーズになります。
今回の「わかった!」
◆車いすの種類は大きく2種類
自分で漕いで動く 【自走式】
介助者に押してもらう 【介助用】
◆車いすが快適に移動する幅は
自走用=【廊下も出入口も85㎝以上】
介助用=【廊下の幅は78㎝以上・出入口の幅は75㎝以上】
◆通路幅の確保には【メーターグリッド】がオススメ
◆ドアは【引き戸一択】
◆段差は極力少なく
◆出入り口は正面から出入り
おわりに
車いすの特徴と、
スムーズに使うためのポイントを紹介しました。
いかがだったでしょうか。
日常動作にストレスなく快適な毎日を送るためにも、
車いすで安全に移動できる空間づくりが大切です。
これからもいまの住まいに永く住み続ける大切なポイント
なので、
改めて見直されてみてはいかがでしょうか。
当社は約20年の介護改修工事の実績があります。
地域の住環境向上の一助として行ってまいりました。
ご相談やご質問などお気軽に
親身になってお応えいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
参考書籍・画像引用:
LIXIL いつもイキイキ 住まいのUDガイドブック
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